ブロックチェーンと不動産
ブロックチェーンの技術は不動産分野にも活用が期待されています。
というのは、不動産関係では、紙の契約書が使われていたり、仲介手数料が高いので、業務効率を高めて取引コストを削減できるブロックチェーンとの相性が良いからです。
今回は、ブロックチェーンと不動産の分野について解説していきたいと思います。
不動産分野における課題
不動産業界が抱えている問題を挙げていきます。
手続きがややこしい
不動産取引を行ったことがある人はわかるかも知れませんが、多くの紙の契約書や書類が必要で手続きが複雑です。
不動産取引には、一部でオンライン化も進んでいますが、紙の契約書や書類を使う場面は多く残っています。
手続きに紙の書類や押印が必要になるため、DX化が進みにくい分野です。
取引のコストが高い
不動産取引では、第三者が仲介となるケースが多いです。
ですので、仲介者に支払う手数料がどうしても発生します。
また、取引業務を行うための人件費・印紙代などのコスト等もかかるので、不動産の取引コスト自体が高くなってしまうという傾向があります。
情報に片寄りがある
不動産取引に必要な情報は、所有者や不動産管理会社が情報を持つ一方で、顧客は限られた情報にしかアクセスできないという片寄りが存在します。
例として、事故物件・設備や施工に不具合がある場合でも、買い手や借り手は正確な情報を知ることがなかなか出来ない状態です。
ですので、不動産取引では、公平な情報の取り扱いが求められています。
不動産におけるブロックチェーン活用のメリット
ブロックチェーンを活用することで、不動産業界にとってのメリットを挙げていきます。
取引の効率化
ブロックチェーンを活用すればユーザー同士が直接取引できるので、仲介者を必要としません。
その結果、書類取得にかかっていた手間・時間を削減する効果が期待できます。
また、業務時間外でも取引できるようになるため、柔軟な対応が可能にもなりえます。
特にスマートコントラクトを活用することで、契約手続きを自動化することが可能です。
取引コストの削減
不動産取引が効率化すれば、仲介手数料などが削減できます。
仲介を必要としない取引ができれば、信頼性を確保するために必要だったコストがかなり削減できます。
情報の透明化
ブロックチェーンを活用することで、不動産取引に関する情報が分散管理され、関係者に不動産取引に関する情報が公開され、取引の透明性が高まります。
不動産の情報の片寄りが改善され、オープンで公平な取引が出来るようになります。
セキュリティの強化
ブロックチェーンに書き込まれた情報は事実上改ざんが難しく、情報が安全に守られます。
ブロックチェーンを導入した場合、すべての端末はサーバーを介さずにつながるので、ネットワーク上の全ての取引が各端末の同意がないと更新できず、データの修正には、全ての端末の承認がなければできません。
もし、悪意のあるデータ改ざんが実行されそうになった場合でも、その実行にはこのような理由で非常に困難であるため、セキュリティ対策につながります。
また、何らかのトラブルによって一部の端末が故障してしまっても、他の端末がデータをカバーしてくれます。
市場の流動化
ブロックチェーンによって不動産をトークン化できれば、情報の記録だけでなく、所有権の移転やユーザー間での取引が簡単になります。
数週間から数ヶ月程度かかっていた期間をたった数日で行えるため、市場の流動化につながります。
不動産分野におけるブロックチェーンの活用事例
不動産分野におけるブロックチェーンの活用事例を挙げておきたいと思います。
不動産のNFT化
アメリカの不動産取引のプラットフォーム「PROPY」では、ブロックチェーンを活用して不動産のNFT化を行っています。
「PROPY」を利用することで、取引内容が合意できれば、買い手の支払いと売り手の不動産NFTの所有権の移転が同時に行われます。
これらがすべてオンライン上で完結するようになっています。
賃貸入居時手続きのワンストップ化
大手メーカーの積水ハウスでは、賃貸物件の内覧、契約手続き、ライフライン契約等、⼊居時の煩雑な手続きの負担を軽減する取り組みを進めています。
コンソーシアム型ブロックチェーンを活用することで、積水ハウスが提供する賃貸物件の入居時に必要な複数の契約を一括し、スムーズな入居の実現を目指しています。
不動産情報流通における情報の一元化
株式会社LIFULLが、空き家や所有者不明の不動産問題を解決するために、権利移転記録の実証実験を開始しています。
更なる情報の一元化を推進で、不動産市場の効率化、活性化につながり、空き家の所有者不明問題の解決などの社会問題解決にもなると思われます。