仮想通貨(暗号資産)FTXの破綻の理由と影響は?
仮想通貨(暗号資産)の取引所の大手、「FTXトレーディングス」が2022年11月11日経営破綻しました。
これは、仮想通貨(暗号資産)業界だけでなく、一般ニュースにも報じられるほど大きなニュースになりました。
それもそのはずで、その負債額が数兆円にも上るからとも見られているからです。
CMにも有名スポーツ選手を起用し、取引所として大きく注目されるはずだったのに、なぜ追い込まれることになったのか。
そして、仮想通貨(暗号資産)に与える影響はどうなのかということについて、解説していきたいと思います。
FTXトレーディングスとは
FTXは2019年に創業者のサム・バンクマンフリード氏がCEOを務め、若き経営者としても注目されていました。
大リーグの大谷翔平選手、プロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手など、スポーツ界のスター選手を事業の広告塔にしていたことでも知られています。
日本でも一時期CMが流れていたので、記憶しているかもしれません。
実際、仮想通貨取引所の最大手のバイナンスに次ぐ取引量を誇っていました。
特に、アメリカではバイナンスより知名度は高いです。
FTXの破綻の経緯
FTX破綻の経緯を簡単に見ていこうと思います。
11/2にコインデスクにより関連企業のバランスシートの不正疑惑が公表された
FTXの破綻のキッカケは、財務の健全性を疑問視される報道があったことが始まりです。
関連企業の「アラメダ・リサーチ」というトレーディング会社のバランスシートに不正があったのです。
その内容は、資産のうちの9割以上がFTT(FTXのトークン)や他の仮想通貨、株式などで構成されていて、現金は10%にも満たないほどしか保有していなく、見せかけの資産で融資を受けていたとのことでした。
11/6~11/9にバイナンスがFTTを全精算しFTXの買収に合意
仮想通貨(暗号資産)の最大手の取引所、バイナンスが保有しているFTTを全て売却することを発表し、FTTの価格が急落しました。
それにより、一般投資家も出金するような取り付け騒ぎが起き、下落が下落を読んだ相場になっています。
その後、サム・バンクマンフリード氏が助けをバイナンスに求めてきたことにより、バイナンスはFTXの買収に合意しました。
11/10にバイナンスが買収を撤回
ところが、翌日になり、バイナンスは一転して買収を撤回しています。
このワケは、FTXの負債のトータル金額が莫大であり、アメリカ規制当局による、不正操作の開始の報道があったからだと言われています。
これにより、さらに投資家が資金を引き出す動きが加速しました。
11/11に破産開始手続きを発表
連邦破産法第11条の適用をアメリカの裁判所に申請し経営破綻しました。
法律の適用は日本法人を含む約130のグループ会社に及びます。
その負債額は7兆円規模とも言われており、仮想通貨(暗号資産)業界では、過去最大規模の経営破綻になります。
11/12にFTXがハッキング被害に遭ったことを発表
そして、なんと、その次の日に約7億ドルもの資産がハッキングされて流出したと発表されました。
弱り目にたたり目ですが、もしかすると、FTX関係者が資金を保持したいがために、自作自演をしたのではという憶測もあります。
FTX破綻の影響
FTXの破綻により、各方面で影響が出ています。
FTTと他の仮想通貨(暗号資産)に与える影響
FTXの破綻により下落をモロに受けたのが、ネイティブトークンのFTTです。
そのレートは、1/10以下になりました。
それに引きづられて、ビットコインなどのメジャー仮想通貨(暗号資産)も30%ほど軒並み下がっています。
直接は関係ないものの、そのショックは大きく仮想通貨(暗号資産)全体の相場に影響を与えています。
他の相場に与える影響
仮想通貨(暗号資産)は他の投資商品と比べてリスクの高い商品です。
ですので、リスク資産として見られている仮想通貨(暗号資産)の下落により、安全資産と呼ばれる金などのレートが上昇しました。
まとめ
未だにFTXの日本法人では、出金のメドが立っていません。
年内とも言われていますが、来年へずれ込むことも予想されます。
最悪、出金どころか、返金さえも行われないということも考えられます。
FTXの顧客は約100万人存在していると言われており、出資企業・投資期間・提携企業は子会社を含めれば多岐に渡ります。
連鎖的にこの影響が悪化していくことも考えておかねばならないかもです。
特に、FTXが宣伝や広告でした出資先は多く、スポーツ関係でも大リーグ・プロテニス・NBA・NFL・F1など、世間に与える印象も悪くなりました。
このように、仮想通貨(暗号資産)業界全体に与える影響は甚大なものですが、ブロックチェーンの技術は仮想通貨(暗号資産)の価値とは無関係に進みます。
その動向には期待を持ちながら注視していきたいものです。