「MEV」とは?わかりやすく解説します

「MEV」とは?わかりやすく解説します

投資での稼ぎ方の目標の一つに、いかに効率よく稼いでいくかという問題があります。

仮想通貨(暗号資産)は、エコシステムやDeFiで効率よく運用できるものですが、やはり負の部分も存在しています。

今回は、「MEV(最大抽出可能価値)」について解説していきたいと思います。

MEVとは

MEV(最大抽出可能価値)とは、ブロックに含まれるトランザクションを任意の順に操作することで得られる最大の利益のことを指します。

MEVは、ブロックチェーンが持つ透明性な性質によってもたらされている現象です。

MEVは恩恵と負の側面の両方のを持ちます。

特にイーサリアムなどのブロックチェーンにおける主要な問題の1つとなっています。

MEVの発生過程

MEVは、トランザクションがブロックに取り込まれるまでの過程によって発生する現象です。

そのため、MEVについて理解するには、トランザクションが処理されるまでの過程に対する知識が必要になります。

以下にそのポイントを解説します。

トランザクションの取り込みまで

トランザクションがブロックチェーンに取り込まれるまでには、いくつかの過程があります。

1.取引の発生

2.取引の待機となるメモリープール

3.複数のトランザクションがまとめてブロックへ

4.ブロックチェーンとなる

上記のような過程までには、いくつかの作業が必要で、その一つに「合意形成」を行う必要があります。

バリデーターやマイナーによって取引はブロックにまとめられ、ブロックチェーンに追加され、時間が立つと確定されていきます。

トランザクションの処理速度

トランザクションは最終的にブロックチェーンに記録されていきます。

1つのブロックに含められるデータというのは、あらかじめ決まっていますので、ブロックの生成数も一定期間に一定数が生成されるようになっています。

そのため、特にブロックチェーンが混雑してくると、メモリープールに大量の取引が停滞することが見られます。

マイナーやバリデーターは、高いガス代が支払われるようなトランザクションを優先的に処理していきます。

MEVとトランザクションの関係

速度という点においてのポイントは、トランザクションは必ずしも発生順には処理されないという点です。

マイナーやバリデーターは、高いガス代が設定されているトランザクションを優先的に処理することによって、インセンティブが得られます。

MEVは、まだブロックに取り込まれておらず、トランザクションの順番などを操作することで得られる利益と言えます。

これにより、メモリープールから発見した有利な情報を含むトランザクションを元に、アービトラージやフロントランニングというような行為が行われます。

MEVの例

MEVで実際にどのように利益を得るのかという例を見ていきます。

アービトラージ

アービトラージは裁定取引とも呼ばれ、同じような価値を持つ商品等の一時的な価格差を利用する取引手法です。

DEXの取引において、バリデータは異なるDEXや取引ペア間の価格差を利用して利益を得ていきます。

例えば、仮想通貨(暗号資産)の取引所のAとBで同一銘柄にレート差がある場合、安い方で買って高い方で売ります。

AとBの取引所のレートに開きがあった場合には、その差額を利益にできます。

また、レンディングでの金利差を利用したアービトラージもあります。

DeFiでは借入金利や貸出金利に差が生じることがあり、これを利用します。

フロントランニング

DEXにおけるフロントランニングは、悪意を持ったバリデータにより行われます。

ユーザーがDEXでオーダーすると、その注文はメモリープールに未承認のトランザクションとして追加されます。

バリデータは、その中から大規模な購入注文を探します。

バリデータはその大規模な注文が実行される前に、自分の取引を挿入して高いガス代を設定します。

こうすれば、自身の取引が優先的に処理され、バリデータは自身の取引の後の大規模な購入取引によるレード上昇の恩恵に与れるというわけです。

フロントランニングは他のユーザーの不利益となるため、不正行為です。

ですが、DEXでは規制当局による直接の監視や介入が難しいのが実情です。

MEVは悪か?

MEVが持つ影響というは無視できません。

アービトラージにより、スピーディーに取引が行われれば、DEXにおいて最適なレートが反映されることに繋がります。

一方、フロントランニングのような取引は、ユーザーにとってはガス代の高騰など、不利な取引を強制させられることにもなりえます。

ですが、MEVがどんな影響をもたらすとしても、当然の現象であるという視点は重要です。

ブロックチェーンの仕組み上、発生してしまう課題ではありますが、最近のプロジェクトでは、この問題に取り組みつつブロックチェーンも出てくるようになってきました。