仮想通貨(暗号資産)の歴史
近年、値動きの大きさから有力な投資対象の一つである仮想通貨(暗号資産)ですが、その歴史は2008年から、世に知られるようになったのは、2017年頃からと、まだまだ浅いものです。
今回は、特に仮想通貨(暗号資産)の中でも有名なビットコインを中心に、その歴史を振り返ってみたいと思います。
2008年の動き
2008年の10月に「サトシ・ナカモト」と呼ばれる謎の人物がネット上に「P2P電子通貨システム」という論文を投稿しました。
ここがビットコインの本当の始まりです。
この「サトシ・ナカモト」は未だに、誰なのか?どんな人物なのか?
様々な憶測が飛んでいますが不明のままです。
日本人の名前というところには、非常に興味が惹かれます。
2009年の動き
1月3日に、ビットコインの元祖になるブロックが作られました。
その約10日後に50ビットコインを「サトシ・ナカモト」から主要開発者らの間で送金することに成功しています。
ここでは、まだ実験段階と言える取引ですので、現在のような商取引などはありません。
2010年の動き
この年に、初めて商取引が行われました。
と言っても、厳密には開発者同士での取引と言えます。
その取引とは、ピザ屋からピザを2枚注文し、別の開発者に届けてビットコインと交換するというものです。
その時に交換したビットコインは、1万ビットコインということが知られています。
当時のビットコインの価値は1ビットコイン=約0.2円でした。
そして、この年には、早くも世界初のビットコインの取引所「マウントゴックス」がサービスを開始しています。
その影響から1ビットコイン=約7円ほどまで急騰しています。
2011年の動き
様々なメディアで取り上げられて、バブルのような年になっています。
1ビットコイン=約3100円程まで上昇しました。
しかし、マウントゴックスのハッキング事件が明るみなり、1ビットコイン=300円台まで急落しています。
2012年の動き
日本生まれの仮想通貨取引所「コインチェック」の創業などで、日本にもブームの土台が出来上がった時期です。
しっかりと上昇に戻し、1ビットコイン=約1000円台にまで回復しています。
2013年の動き
キプロス危機というものが起きました。
これは、キプロスで起きた金融危機なのですが、この際に世界の中央銀行への信用度が極端に低下する動きがありました。
法定通貨以外の資産ということで、非中央集権型であるビットコインが注目されて世界の富裕層がこぞって買いに出たと言われています。
ビットコインバブルが再来し、1ビットコイン=12万円ぐらいまで急騰した時もあります。
日本でもテレビで紹介され出したのが、この年あたりです。
2014年の動き
再度「マウントゴックス」の資金が流出する事件が起こり、経営破綻となり急落しました。
さらに、ダークウェブのマネーロンダリングによる事件に、ビットコインが使用されていたこともあり、その信用度が落ちて乱高下しています。
1ビットコイン=約2万円あたりで推移していましたが、アメリカの「マイクロソフト」や「デル」などの大手IT企業がビットコインの決済を採用することを受けて、1ビットコイン=約4万円ぐらいまで回復しました。
2015年の動き
この年は大きく動いてはいないのですが、やはりハッキングなどの資金流出が仮想通貨取引所に起きて問題になります。
1年に1回は大小の取引所問わず、しばらくハッキング事件が起きている感じです。
欧州司法裁判所ではビットコインが正式に支払手段として認められるようになり、そのようなハッキング事件を除けば、その勢いは止まらなくなってきた感があります。
2016年の動き
日本で本格的に仮想通貨(暗号資産)の定義を明確化する法案「改正資金決済法」が成立しています。
ブロックチェーンに関する実証実験も大手の金融機関や企業が出始めたのもこの頃です。
認知度も上がり、特段の大きな上昇はないものの、1ビットコイン=約11万円まで上昇しています。
2017年の動き
日本では仮想通貨バブルが起きました。
一般投資家が投資対象として多く参入してきた年です。
夏にビットコインの開発者とマイニングするマイナーとの対立が鮮明になり、ビットコインから分岐したビットコインキャッシュが誕生しました。
年末にアメリカの先物取引所(CME)がビットコインの先物取引を開始したことも受けて、機関投資家の参入等で一気に資金が流れ込んで、1ビットコイン=約230万円という最高値レートつけました。
2018年の動き
ビットコインバブルが弾けた年になっています。
遅くに参入した投資家は、高値づかみで急落に耐えきれず損切りを強いられた時でもあります。
投資の難しさ、ボラティリティーの大きい仮想通貨(暗号資産)ならではの難しさを体感した1年でもあったでしょう。
追い打ちをかけるように、SNSの大手サービス、Facebook・Google・Twitter、などが仮想通貨(暗号資産)の広告掲載の禁止を発表しました。
さらに日本発祥の取引所、コインチェック・Zaifなどで相次ぐハッキング事件、輪をかけて、新規仮想通貨公開(ICO)の詐欺事件なども頻繁に起こり、仮想通貨(暗号資産)の信用度はかなり落ち込みました。
1ビットコイン=約30万円台ぐらいまで下落しています。
2019年の動き
国内では、これまで呼ばれていた仮想通貨の呼称が、金融商品取引法などにより、「暗号資産」に変更されました。
この年は長らく続いた低迷から、脱却し、1ビットコイン=約150万円まで復帰するも、中国政府による仮想通貨(暗号資産)取引の規制を受けて、再度下落してしまいます。
その時のレートは、1ビットコイン=約80万円ほどになりました。
2020年の動き
この年は、新型コロナウイルスの世界への影響もあり、乱高下した年になりました。
大規模な金融緩和政策により再度上昇し、DeFi(分散型金融)のブームがやってきて、さらにペイパルによる仮想通貨(暗号資産)の決済導入が決まりマーケットに熱が帯びてきます。
12月には、2017年の急騰を思い起こさせる、1ビットコイン=200万円超えを記録しました。
2021年の動き
機関投資家や大企業がビットコインの購入をし、仮想通貨(暗号資産)関連事業への参入もあり、飛ぶ鳥を落とす勢いで上昇していきました。
加えて、アメリカの仮想通貨(暗号資産)取引所の「コインベース」がナスダック上場を果たし、1ビットコイン=700万円超えを記録し、今までの最高値を軽く更新してきました。
ただし、順調に上昇するのではなく、中国のマイニングの取り締まり強化や企業の撤退などで半減するなど、乱高下は著しいものがあります。
その後は再度急上昇し、さらに最高値を更新してきました。
仮想通貨(暗号資産)のマーケットはまだ成長する
ビットコインの誕生のきっかけは、2008年の金融危機、「リーマン・ショック」と言われています。
米ドルやユーロ、円などの法定通貨は、どうしても各国の中央銀行の政策により中央集権的な管理を受けます。
マーケットに完全に委ねる・任せるという非中央集権的な考え方は、過去にはない、新しい取り組みです。
その結果、誕生して間もない頃は、1ビットコイン=0.2円でしたが、現在では、1ビットコイン=数百万円となり、数千万倍以上も値上がりするという、とてつもない上昇をしています。
仮想通貨(暗号資産)は、投資用の資産としての側面だけでなく、決済・送金、ゲームやアプリ、行政サービスなどのプラットフォームとしてこれからも様々に活用されていくことでしょう。
今後の利用の裾野の広がりも注目していきたいところです。